3.売主の賠償責任が認められるための主な要件②:「虚偽の申告」

次に、本件の場合、「瑕疵」だけではなく、売主による「虚偽の申告」が認められる必要があります。

説明が長くなるので、詳細は割愛しますが、売主が一般人で(売主側の)仲介業者を介した不動産売買の場合、売主本人の説明義務の程度は大幅に軽減されます(原則として無いと考えて差し支えないでしょう)。

売主が一般人で(売主側の)仲介業者を介した不動産売買の場合、売主は、不動産取引に関する専門知識も実務経験もないため、通常、不動産売買にあたっては、重要事項の説明は自らが依頼した仲介業者(宅建業者)に委ねていると解するのが契約当事者の合理的意思と考えられているからです(東京高裁平成20年5月29日甲判決)。

より具体的には、

(1)売買前5年の間に、当該物件で雨漏りが生じた、という客観的事実

(2)「売買前5年間、当該物件で雨漏りが生じていない」と売主(側)が説明した、という事実を証明していく必要があります。

(1)は、雨漏りの原因である不具合(瑕疵)の状態・程度、当該不具合(瑕疵)の状態・程度を踏まえた1級建築士などの「専門家の意見(書)」、「当該物件に住んでいた方や出入りしていた方など関係者の証言」などの直接証拠または間接証拠(情況証拠)の積み重ね等によって判断していくことになります。

(2)は、契約席上での会話のやり取りを、ご本人の証言のみならず、「売買契約書や重要事項説明書の記載内容」、「仲介業者や売主・買主などの関係者の証言」、「契約締結前後のやり取りや経緯」などの直接証拠または間接証拠(情況証拠)の積み重ね等によって判断していくことになります。

上記の通り、(1)の証明も、1級建築士などの専門家の判断を交えて行うものですがご相談内容を前提とする限り、(1)が認められる余地(可能性)もあるように思われます。

(2)についても、書類や当時のやり取りの詳細は不明ですが、「建物の現況報告書には、「5年前に台所の窓に雨漏りあり、シーリング処置した。」と書いてあり、」ということであれば、「以降5年間雨漏りはないか口頭で尋ねた」ということも、事実の経過・流れとして自然であり、こちらについても、認められる余地(可能性)は十分あるように思われます。

次回に続く