以下、気になる点をいくつかだけピックアップして、過ちを起こさないように気を付けていきたい。

特定の弁護士や法律事務所等と比較した広告はNG(規程3条5号)

「●●事務所より豊富なスタッフ」であるとか、「●●を宣伝文句にしている事務所とは異なり、当事務所は●●で優れています。」という広告は禁止されている。

弁護士職務基本規程では、弁護士は他の弁護士の名誉と信義を重んじることとされており(同規程70条)、それを受けての規程と思われるが、その背景には、弁護士法2条・弁護士職務基本規程6条に規定される品位保持義務が存在する。要は、「同業種同士で批判し合うのは、品がない。」ということであるが、他の業種の方や一般の方からすると、同業者批判が禁止されることは、ギルド的・閉鎖的と批判されてしまうかもしれない。

むろん、これを強調しすぎることは上記のような批判を免れないのであって、私も実施している弁護士によるセカンド・オピニオンを禁止する趣旨では全くない。

専門分野、スペシャリスト、プロ、エキスパート等の用語の表示は「控えるのが望ましい」

専門分野、スペシャリスト、プロ、エキスパート等の用語の表示は、客観性が担保されないこと等により弁護士に対する国民の信頼を損なうおそれがあることから、「控えるのが望ましい」とされている。
  私自身、会社法以外の案件も多数抱えていることなどもあり、「専門分野」として会社法を取り扱っているとは一言も触れていない。

得意分野、積極的に取り組んでいる分野、取扱分野などの表現はOK

得意分野、という表示は、当該弁護士の主観的評価の範囲に留まるため、問題ないとされている。そのほか、積極的に取り組んでいる分野、取扱分野などの表現も違反には当たらないとされている。

「最も」「一番」「常勝」などの表現は「十分注意しなければならない」

  • ・「最も」「一番」その他最大級を表現した用語
  • ・「完璧」「パーフェクト」その他完全を意味する用語
  • ・「信頼性抜群」「顧客満足度」その他実証不能な優位性を示す用語
  • ・「常勝」「不敗」その他結果を保証又は確信させる用語

これらの用語の使用は、文脈によって問題となりうるため、「十分注意しなければならない。」とされている。

訴訟の勝訴率の表示はNG

訴訟の勝訴率を表示することは、弁護士業務広告規程4条1号によって明示的に禁止されている。もちろん、私のホームページにも、これを記載した文章はないし、訴訟というものは、勝つこともあれば負けることもあるのが常であって、私達弁護士はそれを保証するものではない。

ちなみに、よく法律相談で、「絶対勝てますか?」という質問を受ける。依頼者を勇気付けるために「勝つように頑張ります」と言うことはあるものの、まともな弁護士であれば「絶対に勝てる」とは言わないものであり、むしろ、「絶対に勝てる」という弁護士がいれば、むしろその弁護士の資質等を疑った方が良い。