事例・コラム
彼氏の携帯を盗み見る行為は犯罪ですか?
Q. 彼氏の携帯を盗み見る行為は犯罪ですか?
結婚を前提に付き合っている彼氏の行動に不審な点を感じたため、彼氏の携帯のメールを盗み見した結果、彼氏が結婚していることが発覚しました。私の行為は、何か罪に問われるのでしょうか?
A. 犯罪に該当する可能性は低いと思います。
検討すべき罪名として、「信書開封罪(刑法)」と「不正アクセス防止法」の2点が挙げられます。
◆ 信書開封罪(刑法)
信書開封罪とは、「封」をしてある「信書」を「開ける」行為を、処罰する罪です。
「信書」とは、特定人から特定人に宛てた意思を伝達する文書をいいます。携帯電話に記録されたメールはデータにすぎないため、文書ではなく、「信書」には該当せず、信書開封罪には該当しません。
◆ 不正アクセス防止法
不正アクセス防止法では以下の通り「不正アクセス行為」とは、次の各号のいずれかに該当する行為をいう。
一 アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能に係る他人の識別符号を入力して当該特定電子計算機を作動させ、当該アクセス制御機能により制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為(当該アクセス制御機能を付加したアクセス管理者がするもの及び当該アクセス管理者又は当該識別符号に係る利用権者の承諾を得てするものを除く。)
二 アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能による特定利用の制限を免れることができる情報(識別符号であるものを除く。)又は指令を入力して当該特定電子計算機を作動させ、その制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為(当該アクセス制御機能を付加したアクセス管理者がするもの及び当該アクセス管理者の承諾を得てするものを除く。次号において同じ。)
三 電気通信回線を介して接続された他の特定電子計算機が有するアクセス制御機能によりその特定利用を制限されている特定電子計算機に電気通信回線を通じてその制限を免れることができる情報又は指令を入力して当該特定電子計算機を作動させ、その制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為
と規定しています。
携帯電話にロックがかけられていた場合、同法2条4項違反に該当するようにも思えますが、同法第2条第4項では、「不正アクセス行為」を「電気通信回線を通じて」行われるもの、すなわち、コンピュータ・ネットワークを通じて行われるものに限定しています。
例えば、他人のユーザIDとパスワードでなりすましてログインし、他人になりすましたオークションへの出品や入札などは不正アクセス禁止法違反になります。
ご質問のように、彼氏の携帯電話のメールを見ただけの場合、「電気通信回線を通じ」たとはいえず、不正アクセス行為には該当しないと考えます。