事例紹介

養育費を一括で支払ってもらうことはできますか

Q.小学生から大学までの養育費をきちんと払ってもらえるか不安です。離婚の養育費を一括で支払ってもらうことはできますか?

大阪市に住む35才の女性です。夫との離婚を考えています。夫との間には、現在小学生の子どもがおり、私が引き取るつもりですが、将来大学までは進学させてやりたいと思っています。でも、夫が大学までの長期にわたって養育費をきちんと払ってくれるか不安です。そこで、子どもを大学まで進学させた場合にかかる費用を養育費として一括で支払ってもらうことはできますか?

A.相手方が合意すれば可能ですが、拒否した場合には難しいでしょう。相手方が合意したとしても、贈与税が課せられる可能性が高く、注意が必要です。

ただし、合意後、養育費をさらに請求できるかどうかについては、養育費請求権の放棄の問題も含め、別途議論がありますが、ここではその問題は割愛します。

1.養育費の支払い方法

養育費の支払いは毎月払いが原則です。養育費というのは子どもの生活費であり、その都度必要とされるものであるからです。

したがって、当然に将来の養育費分を一括して支払ってもらうことはできず、一括払いをしてもらうには相手方が合意することが必要となります。

しかし、一括払いとなれば金額が高額になること、親権者となる者(通常、母親であることが多いです。)が子どもの養育費として使用してくれるかどうかに対する不信感、養育費を一括払いすることで以後子どもと面会できなくなるのではないかという不安感等から、相手方が一括払いに合意することはまれです。

2.養育費の算定

また、養育費については、裁判所実務の積み重ねにより一定の算定方式・算定表が確立されており、当事者間で養育費金額を合意できなければ、この算定方式・算定表を基に決められることがほとんどです。算定方式・算定表では、夫婦双方の実際の収入金額を基礎に養育費金額が決められます。将来子どもにかかるであろう費用を基に算定するわけではありませんので、子どもの大学までの進学費用を何らかの方法で算定し、その金額を養育費とすることは、相手方の同意がなければ、困難でしょう。

現在小学生ということであれば、将来の進学について具体的に決まっているわけではなく、各進学先が公立か私立かによっても費用が異なることや、一括払いの問題で述べた理由等も踏まえると、相手方が合意する可能性はかなり低いでしょう。

3.贈与税の問題

さらに、将来の養育費を一括で受け取る場合には、受け取った側に贈与税がかかる可能性があります。

養育費については、必要な都度支払われたものは非課税とされますが、まだ具体的に発生していない将来の養育費の一括払いは原則として贈与税の課税対象と考えられています。小学生の子どもの大学までの進学費用となると、贈与税の基礎控除額の範囲内を超える額になると思いますので、贈与税が課税される可能性が高いと思われます。

したがって、養育費の一括払いや算定表を超える額について相手方との合意ができたとしても、養育費の一括支払いとは明示せずに、原則として贈与税の対象とならない離婚による財産分与等の金額の中に含めて解決するほうがよいでしょう。ただし、財産分与についても、婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮してもあまりに多額である場合には、過当であると認められる部分に贈与税が課せられることがありますし、慰謝料についても、相当な範囲を超える過大な金額のものについては、贈与と認定される可能性があるので、注意が必要です。

なお、信託銀行に一括払いの養育費を預け、養育費に相当する給付金を継続的に子どもに支払っていくという養育信託を利用すれば、一定の条件を満たせば通常の養育費と同様に非課税扱いとされます。養育信託であれば、子どもには定期的に一定の金額が支払われますので、単に親権者に一括払いするよりも支払う側としては親権者の自己使用への不安感が小さくなり、一括払いに応じやすいこともあります。どうしても一括払いしてほしいという場合には、養育信託を活用することも一案でしょう。

4.まとめ

以上から、大学までの進学費用を養育費として離婚時に一括払いしてもらうことは、相手方が合意しなければ難しいでしょう。

また、贈与税の問題もありますので、慎重に検討したほうがよいと思われます。

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