事例紹介

全株式を譲渡制限株式とする株式会社の、会社組織の形態はどのようすればよいでしょうか?

Q.全株式を譲渡制限株式とする株式会社の、会社組織の形態はどのようすればよいでしょうか?

A.全株式譲渡制限会社で小規模な会社であれば、機関設計のパターンは17通りです。

会社規模や株主構成・人数、会社運営上のコスト等の要素を踏まえて、より適切な会社経営が可能となる設計を選択することになりますが、通常の中小企業においては、監査役会や三委員会など重装備の機関はまず不要でしょう。

他方、シンプルな機関設計では、株主総会や株主の権限が強くなっておりますので、株主構成や性質によっては、機動的・効率的な経営が困難となる可能性があり、注意が必要です。

1.機関設計のルール

全ての株式会社に共通して設置しなければならない機関は、株主総会と取締役(1人以上)だけです(会社法(以下、略)295条1項、326条1項)。

それ以外の取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、委員会については、定款で自由に設置することができるのが原則とされています(機関設計自由の原則、326条2項)。

ただし、株主や会社債権者の保護のために、会社の規模や機関の選択等に応じて、一定の機関の設置が義務付けられる場合があります(327条、328条)。たとえば、定款上、発行する株式として一部でも譲渡制限の定めが置かれていない会社(会社法上「公開会社」といいます。2条5号)では、取締役会を設置しなければならないとされています(327条1項1号)。

2.非公開会社・非大会社の場合の機関設計のパターン

ご相談事例のような全株式が譲渡制限株式の会社は、非公開会社と呼ばれます。また、小規模な会社であれば、大会社 でない会社にあたると思われます。

非公開会社で、かつ、大会社でない会社の場合に、可能な機関設計のパターンは、以下の通りです(株主総会は当然設置が義務付けられているため、省略しています)。

備考:大会社とは、最終事業年度の貸借対照表において、資本金が5億円以上であるか、あるいは、負債の部の合計が200億円以上である株式会社のことをいいます(会社法2条6号)。

  • ① 取締役
  • ② 取締役  +監査役
  • ③ 取締役  +監査役  +会計監査人
  • ④ 取締役会 +会計参与
  • ⑤ 取締役会 +監査役
  • ⑥ 取締役会 +監査役会
  • ⑦ 取締役会 +監査役  +会計監査人
  • ⑧ 取締役会 +監査役会 +会計監査人
  • ⑨ 取締役会 +三委員会 +会計監査人

※ 取締役会を設置する場合は、取締役は3名以上必要(331条4項)
※ 監査役会を設置する場合は、監査役は3名以上で、半数以上は社外監査役である必要があり(335条3項)、一人以上の常勤監査役が必要(390条3項)

上記の9通りのうち、④以外のパターンについては、会計参与を置いても置かなくてもよいので、置く場合・置かない場合を併せると、合計17通りのパターンがあることになります。

旧商法では、取締役は必ず3人以上必要とされ(旧商法255条)、かつ、取締役会の設置が必要とされていたのに対し、会社法では、(特に中小企業にとって)より柔軟な機関設計を認め、会社の規模や実態に即した機関設計が可能となっています。

3.どのような機関設計を行うか

では、可能な機関設計のうち、どのパターンを選択すればよいのでしょうか。

非公開会社で、かつ、大会社でない会社には、いわゆる中小企業の多くが該当します。中小企業と一口に言っても、その規模や株主構成等は様々ですが、多くの中小企業の会社規模や株主構成、会社運営上のコスト等も踏まえると、非公開会社で大会社でない会社の場合には、上記の①②④⑤あたりが現実的かと思われます。

様々な機関を設置したり、監査役会や三委員会などの重厚な機関を設置すれば、ガバナンスの強化を図ることはできますが、反対に、機動的な決定が困難になるなどの面もあります。したがって、小規模の同族経営会社のような場合にそのような重装備の機関設計をしても、実情に見合わないものとなりかねません。

では、シンプルな機関設計の場合であれば機動的・効率的な経営が常に可能かというと、必ずしもそうとは言い切れません。すなわち、シンプルな機関設計の場合には、株主総会や株主の権限が強くなっておりますので、株主構成や性質によっては、株主間の対立や株主・経営側との対立によって、機動的・効率的な会社経営が困難となることもあります。

株主構成や経営体制、今後の業務方針、コスト等を踏まえ、会社規模と実情に見合った機関設計を選択することが大切です。

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