2.取締役設置会社と非設置会社の違い

では、取締役会を設置するかどうかで、会社経営上どのような違いが生じるでしょうか。

(1)取締役の員数

取締役会を設置しなければ、取締役の員数は1名でも構いませんが(326条1項)、取締役会を設置する場合には、取締役は3名以上必要となります(331条4項)。

(2)設置が義務付けられる機関

取締役会を設置した場合、原則として、監査役(会)又は三委員会のいずれかを設置する必要があります(327条2項本文)。大会社でも公開会社でもない会社であれば、監査役(会)又は三委員会を置く代わりに、会計参与を置くことでも足ります(327条2項但書)。取締役会を設置した場合は、株主総会の権限が制限され、業務執行の意思決定等を基本的に取締役会のみで行うことになるため、株主総会に代わる監督機関が必要となり、また、取締役への監督の強化を図る必要もあるため、監査役(会)又は三委員会の設置が必要となっているのです。

これに対し、取締役会を設置しない会社の場合、取締役の職務執行に対する監督も株主総会や株主自身によって行われることが想定されているため、基本的には監査役等の監督機関の設置は任意とされています。ただ、公開会社でない大会社の場合には、会計監査人設置義務があり(328条2項)、委員会設置会社以外の会計監査人設置会社は監査役も設置する義務がありますので(327条3項)、この場合には監査役を設置しなければならないことになります。

(3)株主総会の権限等

取締役会を設置しない会社の場合、株主総会は、法定事項のほか、株式会社に関する一切の事項について決議することが可能です(295条1項)。

これに対し、取締役会設置会社の場合には、株主総会で決議できる事項は、会社法及び定款で定められた事項に限られます(295条2項)。

裏を返せば、取締役会設置会社でも、定款で株主総会の決議事項を拡張することは可能です。また、取締役会設置会社か否かで、株主総会の招集手続や、株主総会決議に関するルール等も異なります。

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