A3.会計帳簿の閲覧謄写請求で、請求できる書類はどのようなものがあるでしょうか。

(1)会計帳簿の範囲

閲覧することができるのは、「会計帳簿又はこれに関する資料」です(会社法433条1項)。

(2)「会計帳簿」の範囲に関する裁判例

「会計帳簿又はこれに関する資料」に当たるか争われた事例をご紹介します。

ア 法人税確定申告書

(結論)「会計帳簿又はこれに関する資料」には当たらない

(理由)法人税確定申告書は、損益計算書や会計の帳簿を材料にして作成される書類であるため、「会計帳簿」には含まれない
*東京地方裁判所決定H1.6.22

イ 総勘定元帳、手形小切手元帳、現金出納帳、売掛金に関する売上明細補助簿

(結論)「会計帳簿」に当たる

ウ 会計用伝票(仕訳帳に代用されていない物)

(結論)「会計帳簿」に当たる

エ 決算報告書

(結論)「会計帳簿」に当たらない

(理由)決算報告書は、会社法442条に基づいて行うべき閲覧請求の対象文書であるため

オ 法人税確定申告書及び明細表とその作成資料のすべて

(結論)「会計帳簿」に当たらない

(理由)会計処理において直接会計帳簿作成の資料となるものではないため

カ 契約書綴り

(結論)「会計帳簿」に当たらない

(理由)会計処理において直接会計帳簿作成の資料となるものではないため

キ 当座預金照会表

(結論)「会計帳簿」に当たらない

(理由)会計処理において直接会計帳簿作成の資料となるものではないため

ク 手形帳・小切手帳の写し

(結論)「会計帳簿」に当たらない