問い2

(問い1)の回答として、会社の側の都合で、株式共有者の内1人の権利行使を認めることは許されない、とあります。しかしながら、会社法106条但書には、「株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りではない。」と記載されており、これはどう読めばよいのでしょうか?

答え

株式共有者の間で、権利行使者1人を定めない限り、会社法106条但書は適用されないと考えられます。

ご質問の内容はごもっともですが、最判平成27年2月19日判決は、会社法106条但書があるとしても、結論として、会社の側の都合で、株式共有者の内1人の権利行使を認めることは許されない、と判断しております。

問い3

結論は分かりましたが、前述した通り、義父の株式を除く、本来の妻と義弟の持株も1万株ずつなので、このままだと選任決議も出来ません。

このまま、3人の取締役の再任決議が出来ないとなると、会社はどうなってしまうのでしょうか。なお、当社は、取締役会設置会社です。

答え

後任の取締役が決まるまで、前任の取締役がなお取締役としての権利義務を有します。

任期が満了した取締役は、満了に伴い、取締役としての地位等を失うのが原則ですが、新任の取締役が選任されないことなどにより、法律や定款で定められた員数が欠ける場合には、なお取締役としての権利義務を有します(代表取締役につき会社法351条1項、一般取締役につき会社法346条1項)。

御社は、取締役会設置会社であるとのことですので、会社法上、3人以上の取締役の選任が義務付けられています(会社法331条5項)。

したがって、3名とも、後任の取締役が決まるまで、取締役としての地位(権利義務)をなお有しますので、そのまま、取締役として会社を経営していただいて構いません。