事例・コラム
契約トラブル対応のポイント
契約トラブル対応の必要性・重要性
売買契約であれば、「仕入れ製品の数が足りない/不具合があった」、「取引先に納品した製品の数や品質にクレームがあった」、請負契約であれば、「発注先が指定した通りの製品を作成してくれない」、「取引先が無理な仕様変更を要求してくる」、業務委託契約であれば、「委託先が高額な業務委託料を請求してくる」、「委託元が約束していた業務委託料を支払ってくれない」等、契約トラブルの形態は様々ですが、双方の話合いが決裂した場合には否応なしに法的紛争に発展することになります。そのため、契約トラブル対応は、法的紛争の発展を見越した対応が重要となります。
イメージとしては、協議・対応→解決or決裂→法的紛争という事実の流れとは逆行する、法的紛争(を見越した)→協議・対応という流れであり、そのため、法的紛争に関する豊かな知識・経験が必要となります。
1.現状の書類/証拠を確認する
契約トラブルが発生した場合、最初に重要になるのが、現状の書類や証拠を確認することです。発注書や受注書などの契約書類は勿論のこと、請求書や領収書、メールやFAX、日報、相手方への郵送書類や相手方からの送付書類など、ありとあらゆる書類を確認していただくことです。弁護士に相談に来られた企業担当者の方が、こちらに有利な書類や相手方に不利な書類を全て揃えておられることはむしろ少なく、どんな書類/証拠があって、どんな書類/証拠が無いのかを最初に確認することが大切になります。
2.当方の有利/不利な点を見定める
「1現状の書類/証拠を確認する」作業を行った後、次に重要になるのが、当方の有利/不利な点を見定めることです。個々の書類や証拠が持つ法的意味合いは、個別の書類/証拠の法的意味合いと共に、紛争を全体的・俯瞰的にみた場合の位置付けをも見定める必要があります。
典型的なケースでは、発注書や受注書などの契約書類が無い、ということになりますが、例えば、それに代替する請求書や領収書、見積書、双方のメールやFAXのやり取りがあるなど、正式な契約書類が無いことが直ちにこちらの不利にはならない場合もあります。また、紛争を全体的・俯瞰的にみて、法的紛争に発展した場合に相手方が契約の成立や内容について争わないような場合も、正式な契約書類がないことが直ちにこちらに不利になるわけではありません。ほかにも、相手から貰った社印付の契約書を相手に返送していなかったために、「契約が成立していない、と勘違いしていました」という方も中にはおられました。
大切なのは、現状の書類/証拠が、法的紛争に発展した場合に持つ法的意味合いを正確に理解した上で、契約トラブルに対応していただくことです。