父を看護したことは遺産分割において考慮されますか。

Q.今年、父が亡くなりました。晩年、父は認知症を患い、常時介護が必要な状態になりました。
そのため、父が認知症と診断されてから亡くなるまでの3年間、私が自宅で父の食事や排せつなど面倒を見ることになりました。その間、他の兄弟が介護を手伝うことはありませんでした。
父の遺産を分割するにあたり、他の兄弟は均等で分割することを主張しています。父を看護したことは遺産分割において何か考慮されるのでしょうか。

A.具体的事情によっては、寄与分が認められ、取得する遺産が増加する可能性があります。

1.寄与分とは

共同相続人中、被相続人の財産の維持または増加に通常期待される程度を超える貢献をした者がいる時、その者に相続財産に寄与分を加えた財産の取得を認める制度です(民法第904条の2)。

相続人が療養看護したため、被相続人が看護人の費用の支出を免れたことで、相続財産が維持または増加した場合、寄与分が認められる可能性があります。

療養看護型の寄与が認められためには一般的に以下の要件を満たすことが必要とされています。

(1)通常期待される程度を超える特別の寄与であること

  • ・療養看護の必要性
  • ・特別の貢献
  • ・無償性
  • ・継続性
  • ・専従性
  • (2)相続人の行為の結果、被相続人の財産が維持または増加したこと

    2.寄与分の計算方法

    一般的に、下記の計算式で計算されます。

    看護行為の報酬相当額(日当)× 看護日数 × 裁量的割合

    3.審判例の中にも、療養看護の寄与分が認められたものがあります。

    この事案は、被相続人を看護した相続人である相手方が、他の相続人らから遺産分割および寄与分の申立てをされたものです(大阪家裁平成19年2月8日審判)。

    相手方は、被相続人が認知症の症状が出てから死亡するまでの3年間、療養・看護したことが特別の寄与にあたると主張しました。

    裁判所は、「被相続人に認知症の症状が顕著に出るようになったため、相手方は、被相続人の3度の食事をいずれも相手方でとらせるようになり、被相続人らが○○を訪問するときは、相手方が往復とも付き添うようになった。」などの事実を認定し、療養看護の日当を1日あたり8,000円と評価し、その3年分として876万円の寄与分を認めました。

    認知症の被相続人を看護した全ての事案において寄与分が認められるわけではありませんが、要介護度2以上と診断され、療養看護を必要とする病状であったことおよび、近親者による療養看護を必要としていたことが認められるような場合、寄与分が認められる可能性があります。

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