4 まずは売主に確認するのが本筋

上記の通り、仲介業者が「内部木部の腐食」についてまで知っていたか、あるいは知らないまでも、知り得たかどうか、を判断するためには、売主がどのように仲介業者に説明していたかが重要になると思われます。

大きく分けて、売主側の説明が、単に「補修について見ていかれました」ということに留まるのか、「売主側から内部木部の腐食についてきちんと仲介業者に説明していた」とまで踏み込んでいるかは、とても重要な点です。

そうすると、まずは、売主側に正面切って
「仲介業者が応急処置を予め知っていた、と答弁書に書いてあるが、本当に間違いないのか。具体的にどういうことなのか。内部木部の腐食についても、仲介業者に説明していたのか。」
などと、問い合せするのがスタートになります。

問い合せ結果から、こちらに有利な供述が得られれば、一筆を書いて貰ったり、法廷での証言を求めたりすることになりますが、そこまでの協力が難しいようであれば、電話や口頭で聞きながらその内容を録音するというのも漸次的手段といえるでしょう。

反対に、「どうして知っていたと断言できるのか。」の質問に対する回答が曖昧であれば、前記の通り、信用性が低いと判断されて、提訴しても敗訴してしまうリスクは決して低くないと思われます。

証拠の信用性の判断は、情況証拠をもふくめた総合判断なので、「やってみないと分からない」部分もありますが、いずれの回答にしろ、売主側の説明内容が重要な判断要素であることは間違いありません。

5 調査の結果、どうするかは相談者次第

上記のようなケースでは、調査の結果、相談者の方に有利な方向に傾く場合もあれば、不利な方向に傾く場合、或いはどちらとも判断しにくいようなケースなど、様々な場合があります。

また、前記の通り、裁判は「やってみないと分からない」部分がどうしてもあるため、そのことが余計に相談者の方を迷わせる一因になっていることも否めません。

相談者の方が、経済的な面を重視するのか、心情的な面を重視するのか、は十人十色、人によって様々です。

  • 「勝てそうだから裁判を起こす」
  • 「負けそうだから裁判を起こさない」
  • 「不動産業者は嘘を付いているので、そのことを問いただしたい(ので裁判を起こす)」
  • 「勝てそうだけど、回収が難しいので裁判はやらない」

など、選択肢は様々ですが、どれが正解、というわけではありませんし、ある意味、どれも正解です。

最終的にどのような対応をされるかは、適宜弁護士のアドバイスを聞きながら、相談者の方の納得のいく選択をされれば十分ですので、まずは具体的なアクションを起こしていただくことがスタートになります。