(1)「決議の手続きに重大な違法」があると認められる場合とは

ア 取締役会の決議無く、かつ、代表取締役以外が、株主総会を招集した場合(最高裁判例 昭和45年8月20日)

取締役会設置会社において株主総会を開催するにあたっては、代表取締役が「招集通知」とよばれる書面を、決議に先立って株主に送付することにより始まります(会社法296条、298条、299条)。招集通知とは、株主総会への招待状のようなイメージで、決議において話し合う事項などが記載された書面です。取締役会設置会社の場合、招集通知の株主への送付は、会社の義務となっています。

取締役会設置会社が株主の招集をなす場合には、取締役会で招集を決定し、代表取締役が行わなければいけません(296条3項、394条4項)。この招集の決定がないにも拘わらず、なおかつ代表取締役以外の者によって招集がされた場合には、決議が不存在とされる理由になります。

なお、上記とは異なり、取締役会で招集の決定がないにも拘わらず、代表取締役が招集した場合には、違法がそこまで重大ではないとして、後記の「決議取消事由」になります。

イ 招集通知を欠く場合

取締役会設置会社の場合、「招集通知」は、株主総会の2週間前(会社の定款で、株式に譲渡制限を設けている「非公開会社」の場合には、1週間前)までに、「書面」または「電磁的方法」で、株主へ通知することが法律で定められています(会社法299条1項、2項)。

もっとも、株主全員の同意がある場合には、招集通知の発送は不要です(会社法300条)。取締役会設置会社の場合、招集通知には、決議で討議すべき事項を記載しなければなりません(取締役会非設置会社の場合は不要)。

そして、招集通知がなされなかった場合、通知をされていない株主にとっては、株主総会への準備の機会を与えられなかったことになります。したがって、実際になされた決議は、手続上の瑕疵があったと判断されることになります。

よって、招集通知の発送漏れが多数に及ぶ場合は、決議の手続きに重大な違法があり、そのために決議があったとは評価できない場合にあたります。

具体的には、招集通知を欠いた株式の数が、全体の4割近くに上る場合、株主総会決議の不存在事由になるとした最高裁判例があります(最高裁判所判例 昭和33年10月3日)。

(2)株主総会決議不存在確認の訴えの提起方法と効果

株主総会決議不存在の訴えは、株主など「不存在を主張することについて正当な利益があるもの」であれば、法理論上は、だれでも提起することができます。

また、手続き違反の重大性から、提訴期間に制限はありません。いつでも、だれでも訴えの提起ができます。

訴えの結果として、株主総会決議が不存在と認められた場合には、その判決は「対世効」を持ちます。対世効とは、訴訟の当事者となった原告と被告である会社だけではなく、その外、世の中の人に対しても、広く効果をもつとになるという意味です。

つまり、「株主総会決議はそもそもされなかった」ことが、世の中の人全員との間で確認される、といったイメージになります。

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