Q. 2人の子どもがいる大阪在住の女性です。半年前に夫が一方的に家を出ていってしまい、それ以来別居しています。夫は別居して以降、生活費を支払ってくれません。これまでは私のパート収入と貯金で何とか生活してきましたが、私の収入だけで2人の子どもを抱えて生活していくことは限界です。夫に生活費を支払ってもらうことはできないでしょうか。

A. 結婚している間は、夫に対して、資産・収入・社会的地位等に応じた通常の生活費の分担を請求することが可能です。

1.別居中でも結婚している間は、婚姻費用を分担する義務があります

夫婦・未成熟子の婚姻生活の維持費用・生活費(法的には「婚姻費用」といいます。)については、婚姻期間中は、夫婦が互いに分担するものとされています(民法760条)。

別居していても、結婚している間は、婚姻費用を分担する義務がありますので、あなたは夫に対して生活費を支払うように請求することができます。

2.婚姻費用の分担額はどのように決めるのか

婚姻費用の分担については、民法760条で「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して」分担するものと定められていますが、具体的な分担額、支払方法等については、まずは夫婦の合意で決めることになります。
お互いの収入や財産、子どもの教育費等実際の支出等を踏まえ、決定することになるでしょう。

3.夫婦間の話し合いでは合意できない場合・話し合いができない場合

婚姻費用の分担について夫婦間の話し合いでは合意できない場合、あるいは、そもそも話し合いができない場合には、家庭裁判所に婚姻費用分担の調停・審判を申し立てることができます。

調停は、裁判所が間に入って話し合う場ですので、ここでも婚姻費用の分担額は双方の合意によって決めるのが原則です。調停で解決できない場合は、裁判所が判断する審判に移行することになります。

婚姻費用の分担額について合意が難しい場合には、実務においては、これまでの実務の積み重ねにより確立された一定の算定方式・算定表を基に分担額を算定しています。

具体的には、夫婦双方の収入を基礎に、子どもの有無や人数・年齢等を考慮して、算定されることになります。

4.まとめ

話し合い、あるいは調停等の手続きによって、あなたは夫に対して婚姻費用の分担を請求することができ、その金額は、話し合いで決まらなければ、夫婦双方の収入等を考慮して決められることになるでしょう。