大阪での会社法(内部紛争・中小企業法務)・事業承継・建築紛争に強い弁護士/中小企業診断士なら

成年後見人の権限・活動内容

成年後見人の権限や、成年後見人の活動内容について解説いたします。

1.成年後見人の権限

成年後見人には、本人の財産を管理する権利(財産管理権)と本人を代理する権利(代理権)があります。

すなわち、成年後見人は、成年被後見人(本人)が行った法律行為を取り消すことができます(民法9条)。ただし、日常生活に関する行為(例えば、食料品や日用品の買い物)については取り消すことはできません(民法9条但書)。

また、成年後見人は、成年被後見人(本人)の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について代理権を有します(民法859条1項)。

2.成年後見人の具体的な活動

成年後見人の活動内容を一部紹介すると、以下のものが挙げられます。

ア.日常的な生活

→生活必需品の購入、年金など定期的な収入の管理、住宅ローンや家賃の支払い

イ.福祉サービス利用に関する手続き

→要介護認定の手続き、その内容の確認

ウ.本人の体調が悪化した場合

→入院手続、入院費用の支払い

エ.施設で生活する場合

→施設の選択、施設と入所契約を結ぶ、施設への費用支払い

オ.家の管理(特に、本人が施設に入所し、空き家となった場合)

→傷んだ箇所の修繕、庭の草刈り

3.成年後見人が、本人の財産を管理する際の注意点

(1)本人の居住する不動産を処分する場合

成年後見人が、成年被後見人の居住する建物・土地について、売却・賃貸・賃貸の解除・使用貸し・使用貸借の解除・抵当権の設定等を行う場合には、家庭裁判所の許可を得なければなりません(民法859条の3)。

居住環境が変わることによって、本人の生活や心身の状態に大きな影響が及ぶことから設けられた規定です。そのため、許可を得ないで行った上記の行為は無効となります。

(2)利益相反行為

成年後見人と本人との間で利益相反となる行為(例えば、成年後見人が本人の土地を買う、成年後見人が借り入れを行う際に本人の財産を担保に入れる)については、家庭裁判所に特別代理人を選任してもらわなければなりません。特別代理人が本人の代理人となります。

特別代理人を選任する前に行った利益相反行為は無権代理行為となり、取り消されることもあります。

(3)本人の財産(おおよそ50万円以上)を処分する場合

成年被後見人の財産(おおよそ50万円以上)を処分する場合は、事前に家庭裁判所へ相談することが求められています。

4.成年被後見人の意思尊重、身上配慮の義務

成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければなりません(民法858条)。

そのため、成年後見人は、成年被後見人(本人)と定期的に会い、本人が自分らしい生活を送ることができているか確認する必要があります。

5.裁判所に対する報告

(1)選任直後の報告

成年後見人は、選任されたあと、直ちに成年被後見人の財産の調査に着手し、1か月以内に調査を終わり、その目録を作成しなければなりません。財産目録は、家庭裁判所へ提出します。

ただし、1か月以内に終了しない理由があれば、家庭裁判所へ申し立てることにより、この期間を延長してもらうこともできます。

(2)定期的な報告

成年後見人は、家庭裁判所に対して、定期的に報告を行わなければなりません。最近では、およそ1年に1度のペースで定期報告が求められています。

報告に必要な内容は、以下のものです。

  • ・後見業務を行った期間の収支計算書
  • ・財産目録
  • ・業務報告書
  • ・今後の収支予定表

これらの書類は、家庭裁判所から、ひな形が配布されています。

成年後見についてのその他の情報