(参考)報酬規定
当職は、平成16年3月末日に廃止された旧・大阪弁護士会報酬規定を参考として弁護士報酬を頂いています。
報酬規定 目次
第一章 総則
-
目的
第一条 この規程は、弁護士法に基づき、弁護士会が定める弁護士の報酬に関する標準を示す規程の基準を定めることを目的とする。
-
弁護士会の弁護士報酬規程
第二条 弁護士会は、この規程を基準とし、所在地域における経済事情その他の地域の特性を考慮して、弁護士の報酬に関する標準を示す規程を適正妥当に定めなければならない。
-
弁護士報酬の種類
第三条 弁護士報酬は、法律相談料、書面による鑑定料、着手金、報酬金、手数料、顧問料及び日当とする。
2 前項の用語の意義は、次表のとおりとする。法律相談料 依頼者に対して行う法律相談(口頭による鑑定、電話による相談を含む。)の対価をいう。 書面による鑑定料 依頼者に対して行う書面による法律上の判断又は意見の表明の対価をいう。 着手金 事件又は法律事務(以下「事件等」という。)の性質上、委任事務処理の結果に成功不成功があるものについて、その結果のいかんにかかわらず受任時に受けるべき委任事務処理の対価をいう。 報酬金 事件等の性質上、委任事務処理の結果に成功不成功があるものについて、その成功の程度に応じて受ける委任事務処理の対価をいう。 手数料 原則として一回程度の手続き又は委任事務処理で終了する事件等についての委任事務処理の対価をいう。 顧問料 契約によって継続的に行う一定の法律事務の対価をいう。 日 当 弁護士が、委任事務処理のために事務所所在地を離れ、移動によってその事件等のために拘束されること(委任事務処理自体による拘束を除く。)の対価をいう。
-
弁護士報酬の支払時期
第四条 着手金は、事件等の依頼を受けたときに、報酬金は、事件等の処理が終了したときに、その他の弁護士報酬は、この規程に特に定めのあるときはその規定に従い、特に定めのないときは、依頼者との協議により定められたときに、それぞれ支払いを受ける。
-
事件等の個数等
第五条 弁護士報酬は、一件ごとに定めるものとし、裁判上の事件は審級ごとに、裁判外の事件等は当初依頼を受けた事務の範囲をもって、一件とする。ただし、第三章第一節において、同一弁護士が引き続き上訴審を受任したときの報酬金については、特に定めのない限り、最終審の報酬金のみを受ける。
2 裁判外の事件等が裁判上の事件に移行したときは、別件とする。-
弁護士の報酬請求権
第六条 弁護士は、各依頼者に対し、弁護士報酬を請求することができる。
2 次の各号の一に該当することにより、受任件数の割合に比して一件あたりの執務量が軽減されるときは、弁護士は、第二章ないし第五章及び第七章の規定にかかわらず、弁護士報酬を適正妥当な範囲内で減額することができる。
一 依頼者から複数の事件等を受任し、かつその紛争の実態が共通であるとき。
二 複数の依頼者から同一の機会に同種の事件等につき依頼を受け、委任事務処理の一部が共通であるとき。
3 一件の事件等を複数の弁護士が受任したときは、次の各号の一に該当するときに限り、各弁護士は、依頼者に対し、それぞれ弁護士報酬を請求することができる。
一 各弁護士による受任が依頼者の意思に基づくとき。
二 複数の弁護士によらなければ依頼の目的を達成することが困難であり、かつその事情を依頼者が認めたとき。
-
弁護士の説明義務等
第七条 弁護士は依頼者に対し、あらかじめ弁護士報酬等について、十分に説明しなければならない。
2 弁護士は、事件等を受任したときは、委任契約書を作成するよう努めなければならない。
3 委任契約書には、事件等の表示、受任の範囲、弁護士報酬等の額及び支払時期その他の特約事項を記載する。
4 弁護士は、依頼者から申し出のあるときは、弁護士報酬等の額、その算出方法及び支払時期に関する事項等を記載した弁護士報酬説明書を交付しなければならない。ただし、前二項に定める委任契約書を作成した場合は、この限りでない。
-
弁護士報酬の減免等
第八条 依頼者が経済的資力に乏しいとき又は特別の事情があるときは、弁護士は、第二章ないし第七章の規定にかかわらず、弁護士報酬の支払時期を変更し又はこれを減額若しくは免除することができる。
2 着手金及び報酬金を受ける事件等につき、依頼の目的を達することについての見通し又は依頼者の経済的事情その他の事由により、着手金を規定どおり受けることが相当でないときは、弁護士は、第三章の規定にかかわらず、依頼者と協議のうえ、着手金を減額して、報酬金を増額することができる。ただし、着手金及び報酬金の合計額は、第十七条の規定により許容される着手金と報酬金の合算額を超えてはならない。
-
弁護士報酬の特則による増額
第九条 依頼を受けた事件等が、特に重大若しくは複雑なとき、審理若しくは処理が著しく長期にわたるとき又は受任後同様の事情が生じた場合において、前条第二項又は第二章ないし第四章の規定によっては弁護士報酬の適正妥当な額が算定できないときは、弁護士は、依頼者と協議のうえ、その額を適正妥当な範囲内で増額することができる。
-
消費税に相当する額
第十条 この規程に定める額は、消費税法(昭和六十三年法律第百八号)に基づき、弁護士の役務に対して課せられる消費税の額に相当する額を含まない。
第二章 法律相談料等
-
法律相談料
第十一条 法律相談料は、次表のとおりとする。
初回市民法律相談料 30分ごとに5,000円から1万円の範囲内の一定額 一般法律相談料 30分ごとに5,000円以上2万5,000円以下 2 前項の初回市民法律相談とは、事件単位で個人から受ける初めての法律相談であって、事業に関する相談を除くものをいい、一般法律相談とは、初回市民法律相談以外の法律相談をいう。
-
書面による鑑定料
第十二条 書面による鑑定料は、次のとおりとする。
書面による鑑定料 10万円以上30万円の範囲内の額 2 前項において、事案が特に複雑又は特殊な事情があるときは、弁護士は依頼者と協議のうえ、前項に定める額を超える書面による鑑定料を受けることができる。
第三章 着手金及び報酬金(第一節 民事事件)
第三章 着手金及び報酬金(民事)
-
民事事件の着手金及び報酬金の算定基準
第十三条 本節の着手金及び報酬金については、この規程に特に定めのない限り、着手金は事件等の対象の経済的利益の額を、報酬金は委任事務処理により確保した経済的利益の額をそれぞれ基準として算定する。
-
経済的利益 - 算定可能な場合
第十四条 前条の経済的利益の額は、この規程に特に定めのない限り、次のとおり算定する。
一 金銭債権は、債権総額(利息及び遅延損害金を含む。)
二 将来の債権は、債権総額から中間利息を控除した額
三 継続的給付債権は、債権総額の一〇分の七の額。ただし、期間不定のものは、七年分の額
四 賃料増減額請求事件は、増減額分の七年分の額
五 所有権は、対象たる物の時価相当額
六 占有権、地上権、永小作権、賃借権及び使用借権は、対象たる物の時価の二分の一の額。ただし、その権利の時価が対象たる物の時価の二分の一の額を超えるときは、その権利の時価相当額
七 建物についての所有権に関する事件は、建物の時価相当額に、その敷地の時価の三分の一の額を 加算した額。建物についての占有権、賃借権及び使用借権に関する事件は、前号の額に、その敷地の時価の三分の一の額を加算した額
八 地役権は、承役地の時価の二分の一の額
九 担保権は、被担保債権額。ただし、担保物の時価が債権額に達しないときは、担保物の時価相当額
十 不動産についての所有権、地上権、永小作権、地役権、賃借権及び担保権等の登記手続き請求事件は、第五号、第六号、第八号及び前号に準じた額
十一 詐害行為取消請求事件は、取消請求債権額。ただし、取消される法律行為の目的の価額が債権額に達しないときは、法律行為の目的の価額
十二 共有物分割請求事件は、対象となる持分の時価の三分の一の額。ただし、分割の対象となる財産の範囲又は持分に争いのある部分については、争いの対象となる財産又は持分の額
十三 遺産分割請求事件は、対象となる相続分の時価相当額。ただし、分割の対象となる財産の範囲及び相続分について争いのない部分については、その相続分の時価相当額の三分の一の額
十四 遺留分減殺請求事件は、対象となる遺留分の時価相当額
十五 金銭債権についての民事執行事件は、請求債権額。ただし、執行対象物件の時価が債権額に達しないときは、第一号の規定にかかわらず、執行対象物件の時価相当額(担保権設定、仮差押等の 負担があるときは、その負担を考慮した時価相当額)
2 弁護士会は、地域の特性に応じて、合理的な経済的利益の算定基準を定めることができる。
-
経済的利益算定の特則
第十五条 前条で算定された経済的利益の額が、紛争の実態に比して明らかに大きいときは、弁護士は、経済的利益の額を、紛争の実態に相応するまで、減額しなければならない。
2 前条で算定された経済的利益の額が、次の各号の一に該当するときは、弁護士は、経済的利益の額を、紛争の実態又は依頼者の受ける経済的利益の額に相応するまで、増額することができる。
一 請求の目的が解決すべき紛争の一部であるため、前条で算定された経済的利益の額が紛争の実態に比して明らかに小さいとき。
二 紛争の解決により依頼者の受ける実質的な利益が、前条で算定された経済的利益の額に比して明らかに大きいとき。
-
経済的利益 - 算定不能な場合
第十六条 第十四条により経済的利益の額を算定することができないときは、その額を800万円とする。
2 弁護士は、依頼者と協議のうえ、前項の額を、事件等の難易、軽重、手数の繁簡及び依頼者の受ける利益等を考慮して、適正妥当な範囲内で増減額することができる。
-
民事事件の着手金及び報酬金
第十七条 訴訟事件、非訟事件、家事審判事件、行政審判等事件及び仲裁事件の着手金及び報酬金は、この規程に特に定めのない限り、経済的利益の額を基準として、それぞれ次表のとおり算定する。
経済的利益の額 着 手 金 報 酬 金 300万円以下の部分 8% 16% 300万円を超え
3,000万円以下の部分5% 10% 3,000万円を超え
3億円以下の部分3% 6% 3億円を超える部分 2% 4% 2 前項の着手金及び報酬金は、事件の内容により、30%の範囲内で増減額することができる。
3 民事事件につき同一弁護士が引き続き上訴事件を受任するときは、前二項にかかわらず、着手金を適正妥当な範囲内で減額することができる。
4 前三項の着手金及び第一項・第二項の報酬金は、10万円を最低額とする。ただし、経済的利益の額が125万円未満の事件の着手金及び報酬金は、事情により10万円以下に減額することができ、経済的利益の額が0円の事件の報酬金は原則として発生しないこととする。
-
調停事件及び示談交渉事件
第十八条 調停事件及び示談交渉(裁判外の和解交渉をいう。以下同じ。)事件の着手金及び報酬金は、この規程に特に定めのない限り、それぞれ前条第一項及び第二項又は第二十一条第一項及び第二項の各規定を準用する。ただし、それぞれの規定により算定された額の三分の二に減額することができる。
2 示談交渉事件から引き続き調停事件を受任するときの着手金は、この規程に特に定めのない限り、前条第一項及び第二項又は第二十一条第一項及び第二項の各規定により算定された額の二分の一とする。
3 示談交渉事件又は調停事件から引き続き訴訟その他の事件を受任するときの着手金は、この規程に特に定めのない限り、前条第一項及び第二項又は第二十一条第一項及び第二項の各規定により算定された額の二分の一とする。
4 前三項の着手金は、10万円(第二十一条の規定を準用するときは、5万円)を最低額とする。ただし、経済的利益の額が125万円未満の事件の着手金は、事情により10万円(第二十一条の規定を準用するときは5万円)以下に減額することができる。
-
契約締結交渉
第十九条 示談交渉事件を除く契約締結交渉の着手金及び報酬金は、経済的利益の額を基準として、次表のとおり算定する。
経済的利益の額 着 手 金 報 酬 金 300万円以下の部分 2% 4% 300万円を超え
3,000万円以下の部分1% 2% 3,000万円を超え
3億円以下の部分0.5% 1% 3億円を超える部分 0.3% 0.6% 2 前項の着手金及び報酬金は、事案の内容により、30%の範囲内で増減額することができる。
3 前二項の着手金は、10万円を最低額とする。
4 契約締結に至り報酬金を受けたときは、契約書その他の文書を作成した場合でも、その手数料を請求することができない。
-
督促手続き事件
第二十条 督促手続き事件の着手金は、経済的利益の額を基準として、次表のとおり算定する。
経済的利益の額 着 手 金 300万円以下の部分 2% 300万円を超え
3,000万円以下の部分1% 3,000万円を超え
3億円以下の部分0.5% 3億円を超える部分 0.3% 2 前項の着手金は、事件の内容により、30%の範囲内で増減額することができる。
3 前二項の着手金は、5万円を最低額とする。
4 督促手続き事件が訴訟に移行したときの着手金は、第十七条又は第二一条の規定により算定された額と前二項の規定により算定された額との差額とする。
5 督促手続き事件の報酬金は、第十七条又は第二一条の規定により算定された額の二分の一とする。ただし、依頼者が金銭等の具体的な回収をしたときでなければ、これを請求することができない。
6 前項ただし書の目的を達するため、民事執行事件を受任するときは、弁護士は、第1項ないし前項の着手金又は報酬金とは別に、民事執行事件の着手金として第十七条の規定により算定された額の三分の一を、報酬金として同条の規定により算定された額の四分の一を、それぞれ受けることができる。
-
手形、小切手訴訟事件
第二十一条 手形、小切手訴訟事件の着手金及び報酬金は、経済的利益の額を基準として、次表のとおり算定する。
経済的利益の額 着 手 金 報 酬 金 300万円以下の部分 4% 8% 300万円を超え
3,000万円以下の部分2.5% 5% 3,000万円を超え
3億円以下の部分1.5% 3% 3億円を超える部分 1% 2% 2 前項の着手金及び報酬金は、事件の内容により、30%の範囲内で増減額することができる。
3 前二項の着手金は、5万円を最低額とする。
4 手形、小切手訴訟事件が通常訴訟に移行したときの着手金は、第十七条の規定により算定された額と前三項により算定された額との差額とし、その報酬金は、第十七条の規定を準用する。
-
離婚事件
第二十二条 離婚事件の着手金及び報酬金は、次表のとおりとする。ただし、同一弁護士が引き続き上訴事件を受任するときは、着手金を適正妥当な範囲内で減額することができる。
離婚事件の内容 着手金及び報酬金 離婚調停事件又は離婚交渉事件 それぞれ20万円から
50万円の範囲内の額離婚訴訟事件 それぞれ30万円から
60万円の範囲内の額2 離婚交渉事件から引き続き離婚調停事件を受任するときの着手金は、前項の規定による離婚調停事件の着手金の額の二分の一とする。
3 離婚調停事件から引き続き離婚訴訟事件を受任するときの着手金は、第一項の規定よる離婚訴訟事件の着手金の額の二分の一とする。
4 前三項において、財産分与、慰謝料など財産給付を伴うときは、弁護士は、財産給付の実質的な経済的利益の額を基準として、第十七条又は第十八条の規定により算定された着手金及び報酬金の額以下の適正妥当な額を加算して請求することができる。
5 前四項の規定にかかわらず、弁護士は、依頼者と協議のうえ、離婚事件の着手金及び報酬金の額を、依頼者の経済的資力、事案の複雑さ及び事件処理に要する手数の繁簡等を考慮し、適正妥当な範囲内で増減額することができる。
-
境界に関する事件
第二十三条 境界確定訴訟、境界確定を含む所有権に関する訴訟その他境界に関する訴訟の着手金及び報酬金は、次のとおりとする。ただし、同一弁護士が引き続き上訴事件を受任するときは、着手金を適正妥当な範囲内で減額することができる。
着手金及び報酬金 それぞれ30万円から60万円の範囲内の額 2 前項の着手金及び報酬金は、第十七条の規定により算定された着手金及び報酬金の額が前項の額を上回るときは、同条の規定による。
3 境界に関する調停事件及び示談交渉事件の着手金及び報酬金は、事件の内容により、第一項の規定による額又は前項の規定により算定された額の、それぞれ三分の二に減額することができる。
4 境界に関する示談交渉事件から引き続き調停事件を受任するときの着手金は、第一項の規定による額又は第二項の規定により算定された額のそれぞれ二分の一とする。
5 境界に関する調停事件又は示談交渉事件から引き続き訴訟事件を受任するときの着手金は、第一項の規定による額又は第二項の規定により算定された額の、それぞれ二分の一とする。
6 前五項の規定にかかわらず、弁護士は、依頼者と協議のうえ、境界に関する事件の着手金及び報酬金の額を、依頼者の経済的資力、事案の複雑さ及び事件処理に要する手数の繁簡等を考慮し、適正妥当な範囲内で増減額することができる。
-
借地非訟事件
第二十四条 借地非訟事件の着手金は、借地権の額を基準として、次表のとおりとする。ただし、同一弁護士が引き続き上訴事件を受任するときは、着手金を適正妥当な範囲内で減額することができる。
借地権の額 着 手 金 5,000万円以下の場合 20万円から50万円の範囲内の額 5,000万を超える場合 前段の額に5,000万円を超える部分の0.5%を加算した額 2 借地非訟事件の報酬金は、次のとおりとする。ただし、弁護士は、依頼者と協議のうえ、報酬金の額を事案の複雑さ及び事件処理に要する手数の繁簡等を考慮し、適正妥当な範囲内で増減額することができる。
一 申立人については、申立が認められたときは借地権の額の二分の一を、相手方の介入権が認められたときは財産上の給付額の二分の一を、それぞれ経済的利益の額として、第十七条の規定により算定された額
二 相手方については、その申立が却下されたとき又は介入権が認められたときは、借地権の額の二分の一を、賃料の増額又は財産上の給付が認められたときは、賃料増額分の七年分又は財産上の 給付額をそれぞれ経済的利益として、第十七条の規定により算定された額
3 借地非訟に関する調停事件及び示談交渉事件の着手金及び報酬金は、事件の内容により、第一項の規定による額又は前項の規定により算定された額の、それぞれ三分の二に減額することができる。
4 借地非訟に関する示談交渉事件から引き続き調停事件を受任するときの着手金は、第一項の規定による額の二分の一とする。
5 借地非訟に関する調停事件又は示談交渉事件から引き続き借地非訟事件を受任するときの着手金は、第一項の規定による額の二分の一とする。
-
保全命令申立事件等
第二十五条 仮差押及び仮処分の各命令申立事件(以下「保全命令申立事件」という。)の着手金は、第十七条の規定により算定された額の二分の一とする。ただし、審尋又は口頭弁論を経たときは、同条の規定により算定された額の三分の二とする。
2 前項の事件が重大又は複雑であるときは、第十七条の規定により算定された額の四分の一の報酬金を受けることができる。ただし、審尋又は口頭弁論を経たときは、同条の規定により算定された額の三分の一の報酬金を受けることができる。
3 第一項の手続きのみにより本案の目的を達したときは、前項の規定にかかわらず、第十七条の規定に準じて報酬金を受けることができる。
4 保全執行事件は、その執行が重大又は複雑なときに限り、保全命令申立事件とは別に着手金及び報酬金を受けることができるものとし、その額については、次条第一項及び第二項の規定を準用する。
5 第一項の着手金及び第二項の報酬金並びに前項の着手金及び報酬金は、本案事件と併せて受任したときでも、本案事件の着手金及び報酬金とは別に受けることができる。
6 保全命令申立事件及び保全執行事件の着手金は、10万円を最低額とする。
-
民事執行事件等
第二十六条 民事執行事件の着手金は、第十七条の規定により算定された額の二分の一とする。
2 民事執行事件の報酬金は、第十七条の規定により算定された額の四分の一とする。
3 民事執行事件の着手金及び報酬金は、本案事件に引き続き受任したときでも、本案事件の着手金及び報酬金とは別に受けることができる。ただし、着手金は第十七条の規定により算定された額の三分の一とする。
4 執行停止事件の着手金は、第十七条の規定により算定された額の二分の一とする。ただし、本案事件に引き続き受任するときは、同条の規定により算定された額の三分の一とする。
5 前項の事件が重大又は複雑なときは、第十七条の規定により算定された額の四分の一の報酬金を受けることができる。
6 民事執行事件及び執行停止事件の着手金は、5万円を最低額とする。
-
倒産整理事件
第二十七条 破産、和議、会社整理、特別清算及び会社更生の各事件の着手金は、資本金、資産及び負債の額並びに関係人の数等事件の規模に応じて定め、それぞれ次の額とする。ただし、以下の各事件に関する保全事件の弁護士報酬は、以下着手金に含まれる。
一 事業者の自己破産事件 50万円以上 二 非事業者の自己破産事件 20万円以上 三 自己破産以外の破産事件 50万円以上 四 事業者の和議事件 100万円以上 五 非事業者の和議事件 30万円以上 六 会社整理事件 100万円以上 七 特別清算事件 100万円以上 八 会社更生事件 200万円以上
-
任意整理事件
第二十八条 任意整理事件(前条第一項に該当しない債務整理事件)の着手金は、資本金、資産及び負債の額並びに関係人の数等事件の規模に応じて定め、それぞれ次の額とする。
一 事業者の任意整理事件 50万円以上 二 非事業者の任意整理事件 20万円以上
一 弁護士が債権取立、資産売却等により集めた配当源資額につき
500万円以下の部分 15% 500万円を超え1,000万円以下の部分 10% 1,000万円を超え5,000万円以下の部分 8% 5,000万円を超え1億円以下の部分 6% 1億円を超える部分 5% 二 依頼者及び依頼者に準ずる者から任意提供を受けた配当源資額につき
5,000万円以下の部分 3% 5,000万円を超え1億円以下の部分 2% 1億円を超える部分 1% 3 第一項の事件が、債務の減免、履行期限の猶予又は企業継続等により終了したときの報酬金は、前条第二項の規定を準用する。
4 第一項の事件の処理について、裁判上の手続きを要したときは、前二項に定めるほか、本節の規定により算定された報酬金を受けることができる。
-
行政上の不服申立事件
第二十九条 行政上の異議申立、審査請求、再審査請求その他の不服申立事件の着手金は、第十七条の規定により算定された額の三分の二とし、報酬金は、同条の規定により算定された額の二分の一とする。ただし、審尋又は口頭審理等を経たときは、同条の規定を準用する。
2 前項の着手金は、10万円を最低額とする。
第三章 着手金及び報酬金(第二節 刑事事件)
第三章 着手金及び報酬金(刑事)
-
刑事事件の着手金
第三十条 刑事事件の着手金は、次表のとおりとする。
刑事事件の内容 着 手 金 起訴前及び起訴後の
事案簡明な事件それぞれ20万円から50万円の範囲内の額
(起訴後とは、第一審及び上訴審をいう。以下同じ。)起訴前及び起訴後の
前段以外の事件20万円から50万円の範囲内の一定額以上 再審事件及び再審請求事件 20万円から50万円の範囲内の一定額以上 2 前項の事案簡明な事件とは、特段の事件の複雑さ、困難さ又は繁雑さが予想されず、委任事務処理に特段の労力又は時間を要しないと見込まれる事件であって、起訴前については事実関係に争いがない情状事件、起訴後については公判終結までの公判開廷数が二ないし三開廷程度と見込まれる情状事件(上告事件を除く。)、上告審については事実関係に争いがない情状事件をいう。
-
刑事事件の報酬金
第三十一条 刑事事件の報酬金は、次表のとおりとする。
刑事事件の内容 結 果 報 酬 金 事案簡明な事件 起訴前 不起訴 20万円から50万円の範囲内の額 求略式命令 前段の額を超えない額 起訴後 刑の執行猶予 20万円から50万円の範囲内の額 求刑された刑が
軽減された場合前段の額を超えない額 前段以外の刑事事件 起訴前 不起訴 20万円から50万円の範囲内の一定額以上 求略式命令 20万円から50万円の範囲内の一定額以上 起訴後
(再審事件を含む。)無罪 50万円を最低額とする一定額以上 刑の執行猶予 20万円から50万円の範囲内の一定額以上 求刑された刑が
軽減された場合軽減の程度による相当な額 検察官上訴が
棄却された場合20万円から50万円の範囲内の一定額以上 再審請求事件 20万円から50万円の範囲内の一定額以上 2 前項の事案簡明な事件とは、前条の事案簡明な事件と見込まれ、かつ結果において予想された委任事務処理量で結論を得た事件をいう。
-
刑事事件につき同一弁護士が引き続き受任した場合等
第三十二条 起訴前に受任した事件が起訴(求略式命令を除く。)され、引き続いて同一弁護士が起訴後の事件を受任するときは、第三十条に定める着手金を受けることができる。ただし、事案簡明な事件については、起訴前の事件の着手金の二分の一とする。
2 刑事事件につき同一弁護士が引き続き上訴事件を受任するときは、第三十条及び第三十一条にかかわらず、着手金及び報酬金を適正妥当な範囲内で減額することができる。
3 弁護士は、追加して受任する事件が同種であることにより、追加件数の割合に比して一件あたりの執務量が軽減されるときは、追加受任する事件につき、着手金及び報酬金を適正妥当な範囲内で減額することができる。
-
検察官の上訴取下げ等
第三十三条 検察官の上訴の取下げ又は免訴、公訴棄却、刑の免除、破棄差戻若しくは破棄移送の言渡しがあったときの報酬金は、それまでに弁護人が費やした時間及び執務量を考慮したうえ、第三十一条の規定を準用する。
-
保釈等
第三十四条 保釈、勾留の執行停止、抗告、即時抗告、準抗告、特別抗告、勾留理由開示等の申立事件の着手金及び報酬金は、依頼者との協議により、被疑事件又は被告事件の着手金及び報酬金とは別に、相当な額を受けることができる。
-
告訴、告発等
第三十五条 告訴、告発、検察審査の申立、仮釈放、仮出獄、恩赦等の手続きの着手金は、一件につき10万円以上とし、報酬金は、依頼者との協議により受けることができる。
第三章 着手金及び報酬金(第三節 少年事件)
第三章 着手金及び報酬金(少年)
-
(少年事件の着手金及び報酬金)
第三十六条 少年事件(少年を被疑者とする捜査中の事件を含む。以下同じ。)の着手金は、次表のとおりとする。
少年事件の内容 着手金 家庭裁判所送致前及び送致後 それぞれ20万円から
50万円の範囲内の額抗告、再抗告及び保護処分の取消 それぞれ20万円から
50万円の範囲内の額2 少年事件の報酬金は、次表のとおりとする。
少年事件の結果 報酬金 非行事実なしに基づく審判不開始又は不処分 20万円から50万円の
範囲内の一定額以上その他 20万円から50万円の
範囲内の額3 弁護士は、着手金及び報酬金の算定につき、家庭裁判所送致前の受任か否か、非行事実の争いの有無、少年の環境調整に要する手数の繁簡、身柄付の観護措置の有無、試験観察の有無等を考慮するものとし、依頼者と協議のうえ、事件の重大性等により、前二項の額を適正妥当な範囲内で増減額することができる。
-
(少年事件につき同一弁護士が引き続き受任した場合)
第三十七条 家庭裁判所送致前に受任した少年事件は、第五条の規定にかかわらず、家庭裁判所に送致されても一件の事件とみなす。
2 少年事件につき、同一弁護士が引き続き抗告審等を受任するときは、前条の規定にかかわらず、抗告審等の着手金及び報酬金を、適正妥当な範囲内で減額することができる。
3 弁護士は、追加して受任する事件が同種であることにより、追加件数の割合に比して一件あたりの執務量が軽減されるときは、追加受任する事件につき、着手金及び報酬金を適正妥当な範囲内で減額することができる。
4 少年事件が刑事処分相当として家庭裁判所から検察官に送致されたときの刑事事件の弁護士報酬は、本章第二節の規定による。ただし、同一弁護士が引き続き刑事事件を受任するときの着手金は、その送致前の執務量を考慮して、受領済みの少年事件の着手金の額の範囲内で減額することができる。
第四章 手数料
-
第三十八条 手数料は、この規程に特に定めのない限り、事件等の対象の経済的利益の額を基準として、次の各号の表のとおり算定する。なお、経済的利益の額の算定については、第十四条ないし第十六条の規定を準用する。
一 裁判上の手数料
項 目 分 類 手数料 証拠保全
(本案事件を併せて受任したときでも本案事件の着手金とは別に受けることができる。)基 本 20万円に第十七条第一項の着手金の規定により算定された額の10%を加算した額 特に複雑又は特殊な事情がある場合 弁護士と依頼者との協議により定める額 即決和解
(本手数料を受けたときは契約書その他の文書を作成してもその手数料を別に請求することはできない。)示談交渉を要しない場合 300万円以下の部分 10万円
300万円を超え3,000万円以下の部分 1%
3,000万円を超え3億円以下の部分 0.5%
3億円を超える部分 0.3%示談交渉を要する場合 示談交渉事件として、第十八条又は第二十二条ないし第二十四条の各規定により算定された額 公示催告 即決和解の示談交渉を要しない場合と同額 倒産整理事件の債権届出 基 本 5万円から10万円の範囲内の額 特に複雑又は特殊な事情がある場合 弁護士と依頼者との協議により定める額 簡易な家事審判
(家事審判法第九条第一項甲類に属する家事審判事件で事案簡明なもの。)10万円から20万円の範囲内の額 二 裁判外の手数料
項 目 分 類 手数料 法律関係調査 (事実関係調査を含む。) 基 本 5万円から20万円の範囲内の額 特に複雑又は特殊な事情がある場合 弁護士と依頼者との協議により定める額 契約書類及びこれに準ずる書類の作成 定型 経済的利益の額が1,000万円未満のもの 5万円から10万円の範囲内の額 経済的利益の額が1,000万円以上1億円未満のもの 10万円から30万円の範囲内の額 経済的利益の額が1億円以上のもの 30万円以上 非定型 基 本 300万円以下の部分 10万円
300万円を超え3,000万円以下の部分 1%
3,000万円を超え3億円以下の部分 0.3%
3億円を超える部分 0.1%特に複雑又は特殊な事情がある場合 弁護士と依頼者との協議により定める額 公正証書にする場合 右の手数料に3万円を加算する。 内容証明郵便作成 弁護士名の表示なし 基 本 1万円以上3万円の範囲内の額 特に複雑又は特殊な事情がある場合 弁護士と依頼者との協議により定める額 弁護士名の表示あり 基 本 3万円以上5万円の範囲内の額 特に複雑又は特殊な事情がある場合 弁護士と依頼者との協議により定める額 遺言書作成 定 型 10万円から20万円の範囲内の額 非定型 基 本 300万円以下の部分 20万円
300万円を超え3,000万円以下の部分 1%
3,000万円を超え3億円以下の部分 0.3%
3億円を超える部分 0.1%特に複雑又は特殊な事情がある場合 弁護士と依頼者との協議により定める額 公正証書にする場合 右の手数料に3万円を加算する。 遺言執行 基 本 300万円以下の部分 30万円
300万円を超え3,000万円以下の部分 2%
3,000万円を超え3億円以下の部分 1%
3億円を超える部分 0.5%特に複雑又は特殊な事情がある場合 弁護士と受遺者との協議により定める額 遺言執行に裁判手続きを要する場合 遺言執行手数料とは別に、裁判手続きに要する弁護士報酬を請求することができる。 会社設立等 設立、増減資、合併、分割、組織変更、通常清算 資本額若しくは総資産額のうち高い方の額又は増減資額に応じて以下により算出された額。ただし、合併又は分割については200万円を、通常清算ついては100万円を、その他の手続きについては10万円を、それぞれ最低額とする。
1,000万円以下の部分 4%
1,000万円を超え2,000万円以下の部分 3%
2,000万円を超え1億円以下の部分 2%
1億円を超え2億円以下の部分 1%
2億円を超え20億円以下の部分 0.5%
20億円を超える部分 0.3%会社設立等以外の登記等 申請手続き 一件5万円。ただし、事案によっては、弁護士と依頼者との協議により、適正妥当な範囲内で増減額することができる。 交付手続き 登記簿謄抄本、戸籍謄抄本、住民票等の交付手続きは、一通につき1,000円とする。 株主総会等指導 基 本 30万円以上 総会等準備も指導する場合 50万円以上 現物出資等証明
(商法第百七十三条第三項等及び有限会社法第十二条の二第三項等に基づく証明)一件30万円。ただし、出資等にかかる不動産価格及び調査の難易、繁簡等を考慮して、弁護士と依頼者との協議により、適正妥当な範囲内で増減額することができる。 簡易な自賠責請求(自動車損害賠償責任保険に基づく被害者による簡易な損害賠償請求) 次により算定された額。ただし、損害賠償請求権の存否又はその額に争いがある場合には、弁護士は、依頼者との協議により適正妥当な範囲内で増減額することができる。
給付金額が150万円以下の場合 3万円
給付金額が150万円を超える場合 給付金額の2%
第五章 時間制
-
第三十九条 弁護士は、依頼者との協議により、受任する事件等に関し、第二章ないし第四章及び第七章の規定によらないで、一時間あたりの適正妥当な委任事務処理単価にその処理に要した時間(移動に要する時間を含む。)を乗じた額を、弁護士報酬として受けることができる。
2 前項の単価は、一時間ごとに1万円以上とする。
3 弁護士は、具体的な単価の算定にあたり、事案の困難性、重大性、特殊性、新規性及び弁護士の熟練度等を考慮する。
4 弁護士は、時間制により弁護士報酬を受けるときは、あらかじめ依頼者から相当額を預かることができる。
第六章 顧問料
-
第四十条 顧問料は、次表のとおりとする。ただし、事業者については、事業の規模及び内容等を考慮して、その額を減額することができる。
事業者 月額5万円以上 非事業者 年額6万円(月額5,000円)以上 2 顧問契約に基づく弁護士業務の内容は、依頼者との協議により特に定めのある場合を除き、一般的な法律相談とする。
3 簡易な法律関係調査、簡易な契約書その他の書類の作成、簡易な書面鑑定、契約立会、従業員の法律相談、株主総会の指導又は立会、講演などの業務の内容並びに交通費及び通信費などの実費の支払等につき、弁護士は、依頼者と協議のうえ、顧問契約の内容を決定する。
第七章 日 当
-
第四十一条 日当は、次表のとおりとする。
半日(往復二時間を超え四時間まで) 3万円以上5万円以下 一日(往復四時間を超える場合) 5万円以上10万円以下 2 前項にかかわらず、弁護士は、依頼者と協議のうえ、前項の額を適正妥当な範囲内で増減額することができる。
3 弁護士は、概算により、あらかじめ依頼者から日当を預かることができる。
第八章 実費等
-
実費等の負担
第四十二条 弁護士は、依頼者に対し、弁護士報酬とは別に、収入印紙代、郵便切手代、 謄写料、交通通信費、宿泊料、保証金、保管金、供託金、その他委任事務処理に要する実費等の負担を求めることができる。
2 弁護士は、概算により、あらかじめ依頼者から実費等を預かることができる。
-
交通機関の利用
第四十三条 弁護士は、出張のための交通機関については、最高運賃の等級を利用することができる。
第九章 委任契約の清算
-
委任契約の中途終了
第四十四条 委任契約に基づく事件等の処理が、解任、辞任又は委任事務の継続不能により、中途で終了したときは、弁護士は、依頼者と協議のうえ、委任事務処理の程度に応じて、受領済みの弁護士報酬の全部若しくは一部を返還し、又は弁護士報酬の全部若しくは一部を請求する。
2 前項において、委任契約の終了につき、弁護士のみに重大な責任があるときは、弁護士は受領済みの弁護士報酬の全部を返還しなければならない。ただし、弁護士が既に委任事務の重要な部分の処理を終了しているときは、弁護士は、依頼者と協議のうえ、その全部又は一部を返還しないことができる。
3 第一項において、委任契約の終了につき、弁護士に責任がないにもかかわらず、依頼者が弁護士の同意なく委任事務を終了させたとき、依頼者が故意又は重大な過失により委任事務処理を不能にしたとき、その他依頼者に重大な責任があるときは、弁護士は、弁護士報酬の全部を請求することができる。ただし、弁護士が委任事務の重要な部分の処理を終了していないときは、その全部については請求することができない。
-
事件等処理の中止等
第四十五条 依頼者が着手金、手数料又は委任事務処理に要する実費等の支払いを遅滞したときは、弁護士は、事件等に着手せず又はその処理を中止することができる。
2 前項の場合には、弁護士は、あらかじめ依頼者にその旨を通知しなければならない。
-
弁護士報酬の相殺等
第四十六条 依頼者が弁護士報酬又は立替実費等を支払わないときは、弁護士は、依頼者に対する金銭債務と相殺し又は事件等に関して保管中の書類その他のものを依頼者に引き渡さないでおくことができる。
2 前項の場合には、弁護士は、すみやかに依頼者にその旨を通知しなければならない。
-