事例・コラム
相続放棄の際に、倒壊しそうな建物を取り壊したいのですが。
2.「処分」には、法律行為のみならず、事実行為も含まれる
民法921条1号の「処分」は、財産の現状、性質を変ずる行為を指します。
典型的には、被相続人の預貯金を解約して、自分のものにしてしまうような法律行為をいいますが、通説は、財産を破壊したりといった、事実行為も含まれると解しています。
ご相談のような、建物の取り壊しも、形式的には、「処分」に該当すると思われます。
3.「保存行為」は「処分」に含まれない
もっとも、民法921条1号但書では、
「保存行為(及び第602条に定める期間を超えない賃貸)をすることは、この限りではない。」
と規定されおります。
したがって、建物の取り壊しが、「保存行為」に該当すると判断される場合は、「処分」の該当性を否定されることになります。
具体的事情にもよりますが、個人的には、「倒壊しそうになっていて、隣からクレームが出ています。」とあることから、「保存行為」に該当する余地は十分にあるように思えます。