事例紹介
取締役会議事録を作成しない場合、どのような不都合が生じますか?
Q. 取締役会議事録を作成しない場合、具体的にどのような場面で不都合が生じるのでしょうか?
A. 実際に問題となり得る場面は、下記のような場合です。
1.取締役会議事録が、重要な意義を有してくる場面は、主に会社に損害(や経営権争い)が生じた場合です。

他の取締役の反対を押し切って、多数派株主兼取締役が、専横的な経営判断を行い、会社に多大な損害を及ぼしてしまうことは往々にしてあります。
例えば、多数派株主の個人的な都合で、会社から多額の金銭を借入れ、返済ができずに倒産してしまった、あるいは倒産しかかってしまった場合、少数派株主や会社債権者としては、会社だけでなく、取締役個人の責任追及を考えるでしょう。
その際、専横的な経営判断を行った取締役の責任だけではなく、特に資力との兼ね合いから、他の取締役への責任追及が検討されることになります。
株主や債権者は、各取締役がどのように判断していたのかを検討することになりますが、その判断の上では、取締役会議事録が重要な意義を有しております。
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