事例紹介

相続人が株主として経営に参加することを阻止する方法

Q.会社として、相続人が株主として経営に参加することを阻止する方法はありますか。

A.「1.相続人と合意により取得する方法」と、「2.相続人に売渡義務を負わせる方法」があります。

1.相続人と合意により取得する方法

(その1)名義書換請求をする前に、その相続人に対して、他の株主に株式を譲渡してもらうべく、交渉する方法があります。具体的には、他の株主が買い取る方法です。

(その2)名義書換請求をする前に、交渉を行い、会社が買い取る方法があります。

この場合、会社は株主総会の特別決議を経る必要があります(会社法156条、160条)。

その総会においては、相続人は特別利害関係人として議決権を行使することができません(その相続人等以外の株主の全部がその株主総会において議決権を行使できない場合を除きます)(会社法160条4項)。

この議案に対して、他の株主は自己の株式も買い取るように求める(すなわち、自己を当該特定の株主に追加することを株主総会の議案とするよう求める)ことはできません(162条本文)。会社が自己株式を買い取る際には、他の株主にも買取請求権が認められるのですが(会社法160条3項)、相続人からの買取請求の場合は、他の株主の買取請求は認められません。この場合は、一般株主からの取得ではないからです。

会社の買取りは、公開会社には適用がありません(会社法162条1号)。

また、相続人等が株主総会において議決権を行使した場合には、買取請求は適用できません(会社法162条2号)。相続人は株式を手放す意思がないと判断されるからです。

2.相続人に売渡義務を負わせる方法

(1)売渡請求権とは

会社が、株式を相続により取得した者(相続人)に対して、会社へ株式を売渡すよう請求できる権利を、定款で定めることができます(会社法174条)。相続人は売渡請求を拒否することはできません。

これにより、好ましくない相続人が株主となることを阻止することができます。

(2)売渡請求権の要件

売渡請求権の要件は下記の5件です。

(④の決議に、相続人自身は議決権を行使することはできません(会社法175条2項)。)

(3)売渡請求権の手続

会社は、株主総会の特別決議を経たうえで、相続人に対して、売渡請求権を行使します。

売買価格は、相続人と会社との間で協議を行い定めることになります(会社法177条1項)。その協議が調わないときは、当事者は売渡請求の通知があった日から20日以内に、裁判所に対し、売買価格の決定の申立てをすることができます(会社法177条2項)。

(4)その他の注意事項

売渡請求の行使は、会社が相続があることを知った日から1年に限定されています。しかし、実務上、遺産分割協議が1年以内にまとまらない(そのため、当該株式の相続人が確定しない)場合がよく見られます。この場合の会社の対応ですが、会社は、当該株式の相続人が確定しない場合でも、1年以内に売渡請求権を行使しなければなりません。そのため、遺産分割協議が調わない場合でも、法定相続人に対して売渡請求権を行使することになります。

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