③ その証拠の持つ意味

認定した間接事実から、どのような推論を用いて被疑者が犯人であると認定したのか、その理由や、どれくらい強く推認するかといった程度を検討します。この検討はあくまで『被疑者が犯人である疑いが強い』という可能性の問題ですから、『他の仮説は考えられないのか?(反対仮説)』といった点も検討します。

(2)直接証拠

直接証拠とは、その信用性が認められた場合に、その証拠のみで被疑者の犯人性を認定できる証拠です。被害者や目撃者の供述が典型となります。

この信用性を検討する際にも、 『他の証拠・事実との整合性』『供述者と「事件・被疑者・被害者等」との利害関係がないか』『供述態度や供述に変化があるか』『供述内容』などの要素を考慮します。

(3)被疑者の供述

被疑者の犯人性の認否にかかわらず、必ず最後に検討されます。たとえ、被疑者本人が自分を犯人だと認めていても、それが真実に合致しているのかを意識しながら検討しなくてはいけません。

参考文献
小林 充・香城 敏麿 (1994/4) 『刑事事実認定―裁判例の総合的研究 (下)』