事例紹介

カルロス・ゴーン氏の逮捕と会社法(弁護士中村真二のコラム)

日産自動車の会長のカルロス・ゴーン氏と同社代表取締役のグレッグ・ケリー氏が、11月19日、東京地検特捜部により金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで逮捕されました。

この件で、マスコミより「会社法の一般的な知識について、教えてほしい。」と問い合わせをいただきましたので掲載させていただきます。

どのような顛末になるのか予断を許しませんが、世界を代表する企業の巨額不正事件ですので、しばらくは耳目を集めることになりそうです。

問1:日産自動車の社長は、取締役会で会長職や代表権限をはく奪する、と述べている。
取締役会で、2人の取締役の地位をはく奪することは出来ないのか?

出来ません。会社法は、代表取締役の選解任の権限を取締役会に認めておりますが(会社法362条2項3号)、取締役の選解任は株主総会での決議事項です(同法329条1項、339条1項)。したがって、取締役会でゴーン氏やグレッグ氏の取締役の地位を解任することまでは出来ません。

問2:ゴーン氏やグレッグ氏が、取締役を辞任することは出来るのか?

はい。ゴーン氏やグレッグ氏が自らの意思で取締役を辞任することは自由に認められます。個人的には、両人が自発的に辞めることは考えにくいと思いますが。

問3:では、日産自動車は、ゴーン氏やグレッグ氏の取締役の解任を臨時株主総会を開いて決議していくことになるのか?株主総会は少数株主でも求めることが出来ると思うが、総会の開催の求められると、経営陣は株主総会を開いていかねばならないのか?

はい。ゴーン氏やグレッグ氏の取締役の解任は臨時株主総会を開いて決議することになります。ご相談の通り、一定の株数を保有する株主であれば(会社法297条。基本的には3%。)、株主総会の開催を経営陣に求めていくことが出来ます。ただ、本件の事案からすると、現経営陣は、両人の責任を追及していく姿勢のようですので、株主側からの株主開催請求を受けるまでもなく、自発的にゴーン氏やグレッグ氏の取締役の解任を求める臨時株主総会の開催を決定していくように思えます。

問4:日産自動車の社長は、11月22日に取締役会を開催すると述べている。ゴーン氏やグレッグ氏が逮捕された当日に取締役会を開催することは出来ないのか?

取締役会の開催は、招集権者(一般的には社長とされることが多いです)が開催日の1週間前または定款で定めた場合のこれを下回る期間までに各取締役に対してその通知を発しなければならないとされています(会社法368条1項)。例外として許容されるのは、取締役全員(監査役設置会社にあっては監査役の同意も必要です)の同意があるときのみです(同条2項)。

ゴーン氏やグレッグ氏が、自分たちの権限を解任する取締役会の即時開催に同意するとは考えにくいので、日産自動車としては、自社の定款に沿った通知期間が必要だったのではないかと考えられます。

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