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株式会社は、株主が会社を所有しています。そのため、合併や株式の発行などの会社の重要事項については、株主総会を開催したうえで、株主の決議によって決定されます(会社法295条、309条)。

ところが、この株主総会が「無効」または「取り消」される場合、さらには、そもそも「存在していなかった(決議不存在)」とされる場合もあるのです。

株主総会が無効や取り消し、不存在とされる場合は、後記のように、自身の会社についての重要事項の決定に携わるという機会を得られなかった場合や、会社の利益に反する決議がされた場合などです。したがって、株主にとっては、重大な不利益を被る場面になります。そのため、なんとしても一度なされた株主総会の決議を改める必要があります。

他方、会社にとっては、決議に基づいて業務が開始され、また様々な人や場所との取引が始まっており、多くの利害関係が生じることになります。そのため、株主総会が取り消し・無効、ましてや不存在とされると困る場合も多くあります。

そこで、裁判所としては、株主の利益と会社の取引保護との調和を図っています。具体的には、株主総会決議が不存在、無効、取り消される場合を、限定されたものとしているのです。
本稿では、株主総会決議の不存在、無効、取り消しについて、その方法と、いかなる場合に認められるのかについてみていきます。

1 株主総会決議の不存在とは

一度行われた株主総会の決議が「不存在」とされる場合とは、主に以下の2つの場合です。1つ目は、そもそも株主総会を開催した事実が全くないにも拘わらず、これをあったものとして、総会議事録が作成されたような場合(事実上の不存在)です。

2つ目は、事実上総会決議はなされているものの、決議の手続きに重大な違法があり、そのために決議があったとは評価できないような場合(法律上の不存在)です。

上記2つの不存在があった場合には、「株主総会決議不存在確認の訴え」として、会社法830条1項に基づき、決議の不存在を裁判によって確定してもらうことができます。

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