事例紹介

包括一罪について

はじめに

Case:Aは2時間のうちに一つの倉庫に三回侵入し、三つの米俵を三回に分けて盗んだ。Aにはいくつの窃盗罪が成立するか?

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ある人が、複数の犯罪行為を行ったように見える場合、その人にはいくつの罪が成立するのでしょうか。普通に考えれば、行った分だけ犯罪が成立するように思えるのですが、現在の日本の刑法ではそのような考え方は採用されていません。

なぜなら、そのような形で単純にいくつも罪を成立させ、それらの刑罰を単純に合算しては不当に重い罰になってしまうと考えられているからです。

Caseの例で考えてみましょう。Aさんは結局のところ3個の米俵を盗んだわけですが、その行為自体は三回に分けて行われていますから、三つの窃盗罪が成立するように思えます。しかし、もし仮にAさんがすごく大きなバックパックか何かで3個の米俵を一つにまとめて、2時間かけて一回の窃盗で3個まとめて盗んだ場合は一個の行為しかありませんから、窃盗罪は一個しか成立しようがありません。

つまり単純に『複数の犯罪行為を行えば、複数の犯罪が成立する』と考えてしまうと、時間的にも、被害品の価値的にも同じ二つの事例の間で、刑罰内容に著しい差が出てしまうので、不当なのです。

このように一見すると複数の犯罪行為が成立するようであり、かつ一罪とする明文の規定(※1)もないが、一つの罪で包括的に評価すれば法的に十分な場合を包括一罪と言います。

そして『一罪で評価すれば法的に十分な場合』とは、基本的には『複数の法益侵害(※2)ないし行為の間に一体性が認められる場合』と考えられています。なぜなら、この場合に複数の刑罰を適用してしまうと、一つと評価された法益侵害ないし行為を二重評価することになってしまうからです。

もっとも、『一体性が認められる場合』の判断は難しく、包括一罪とされる類型は複数ありますし、その分類方法も様々です。

ここでは、1.同じ数個の罪を吸収して一罪とする場合と、2.軽い罪が重い罪に吸収される場合の二つに分けて説明します。

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