弁護士コラム

欠陥住宅問題について③~責任主体は誰か〔請負契約のケース〕~

仮に「欠陥」があると認められた場合、次に、責任主体は誰か、ということが問題となります。

ご相談される方は、当初相談時にはそれほど気にかけておられないことが多いのですが、実務上は、この点の検討は意外に重要です。

消費者の方であれば、相手方によって追及の可否が変わり得るだけでなく、現実的には、追及した相手方が無資力の場合もよくあるため、責任追及の相手方は多ければ多いほど越したことはないからです。

反対に、業者の方であれば、

を念頭に、他社との責任分担を検討する意味合い、等があります。

例えば、建築士が、工事監理の責任を追及されている場合であれば、

が必要になります。

以下、住宅取引で主に取り扱われる、請負契約の場合と売買契約の場合とで、分けて説明いたします。

① 請負人(請負業者)

請負契約の場合、責任追及主体として真っ先に問題となるのが、実際に施工した請負人(請負業者)です。

請負人の場合、建物完成前であれば債務不履行責任(民法415条)、建物完成後であれば瑕疵担保責任(民法634条)を負っています。

請負人の瑕疵担保責任は、請負人に過失がない場合も発生する、無過失責任です。したがって、建物に「瑕疵」が認められる場合、注文者からみると、請負人(請負業者)に対して、かなりのケースで法的責任を追及しうることになります。

反対に、請負業者からみると、注文者の要求に対して、かなりのケースで法的責任が認められてしまうことになります。

② 建築士

建築工事が行われる場合で、「設計」や「工事監理」は、建築士において行われることになります(建築士法3条~3条の3)。

建築士は、建築基準法等法令を遵守して上記業務を独占的に行う資格者であり、建物の「欠陥」が、「設計」や「工事監理」を行う建築士の故意・過失に基づくものである場合には、建築士に対する不法行為責任ないし債務不履行責任(注文者との間で設計・監理業務委託契約がある場合)を追及し得る、あるいは、追及されるおそれがあることになります。

具体例としましては、建築士の責任追及が考えられる事案には、

  • ⅰ「設計」の内容そのものが、法令または条例の定める建築物に関する基準に適合しない場合(福岡高裁昭和61年10月1日判決)
  • ⅱ 建築物に「設計図書」通りに建築されない「欠陥」がある場合で、ⅰ現場へ行った時期、階数、頻度、滞在時間、ⅱ「欠陥」の重大性と発見の難易、ⅲ建築士が工事施工者に注意を与え、または建築主に報告した場合の是正の可能性の有無、などを総合的に判断して、建築士の「工事監理」に問題があると考えられる場合

などが挙げられます。

建築士への責任追及に関して、名義だけを貸して、実際の「工事監理」等には一切かかわらない、いわゆる「名義貸し建築士」の責任が問題となるケースがあります。

この点、最高裁判所平成15年11月14日判決は、「名義貸し建築士」の不法行為責任を肯定しました。

このように、建築士が、単なる「名義貸し建築士」に過ぎない場合であっても、責任追及できる場合、あるいは、責任追及されるおそれがあります。

人気記事ランキング

↑ページトップへ