仮に「欠陥」があると認められた場合、次に、責任主体は誰か、ということが問題となります。

ご相談される方は、当初相談時にはそれほど気にかけておられないことが多いのですが、実務上は、この点の検討は意外に重要です。

前回のコラムでは住宅取引で主に取り扱われる、請負契約の場合を説明させて頂きました。今回は売買契約の場合を説明いたします。

① 売主

購入した建物に「隠れた瑕疵」(欠陥)があった場合、買主は売主に対し、瑕疵担保責任に基づいて損害賠償請求をなし得ます(民法570条、566条1項)。

売主は、特約によってこれを排除することも出来ますが、瑕疵を知りながら、あるいは、知ることが出来たにもかかわらず、買主に告げずに売却した場合は、瑕疵担保責任ではなく、債務不履行責任(民法415条)として、損害賠償責任を追及されるおそれがあります。

② 施工業者

買主と建物の施工業者(建築業者)との間に直接の契約関係が無い場合でも、施工業者に対して、直接不法行為責任(民法709条)を追及しうる場合があります。

建物は、建物利用者や隣人、通行人等の生命、身体または財産を危険に晒すことがないような基本的な安全性を備えていなければならない、と考えられています。

最高裁平成19年7月6日判決では、施工業者等が、故意・過失により、建築された建物の基本的な安全性を損い、これにより居住者等の生命、身体または財産が侵害された場合には、原則として不法行為責任を追及しうる、と判断しました。

消費者の方にとっても、業者の方にとっても、直接契約を締結していないからといって、施工業者が責任の対象外であると即断しないよう、留意する必要があります。

③ 仲介業者

仲介業者の責任は、特に建て売り、ないし、中古物件の売買の際に、よく問題となります。

仲介業者の責任は、よく問題となるだけでなく、様々な問題を抱えているので、別立てで説明することと致します。